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受賞者インタビュー

第27回パリ国際サロン 大賞/浮世・絵賞
見てはいけない「ナニカ」を見てしまった人はそれを避けようとして顔をそむけても その呪縛から完全に逃れるのは難しい
筒井 義明 「カタイミ」油彩 60.6×41
受賞者インタビュー
まずは受賞の感想をお聞かせください
この度は「第27回パリ国際サロン 大賞及び浮世・絵賞」を受賞させて頂き本当にありがとうございます。「NEPU 代表作家賞」に続き、このような名誉ある賞を頂けたことは嬉しくもあり、また前回以上に身が引き締まる思いです。

これ以降も、賞の名に恥じない制作活動をいたすべく一層の研鑽と努力をしてゆく所存でございますので、今後ともなにとぞご指導、ご鞭撻の程お願いいたします。
本作品を制作することになったきっかけを教えてください
絵のタイトルは『カタイミ』です。日本の古語で、大和言葉と言ってもいいかも知れません。『カタイミ』とは「塞がっている方向を忌むこと」という程の意味を持ちます。「鬼門を避ける行為」と理解してもいいのでしょう。
 人は、その意識において「あちら」と「こちら」を区別したがります。「彼岸」と「此岸」、「あなた」と「わたし」、「前」と「後ろ」等です。
 人は、このような明確な概念を意識する限りにおいて、その関係性において、そこに存在できることを他から保証されます。その概念は明確な「存在証明」になっているからです。しかし、その区別されるべき概念の関係性が個人において曖昧になってしまったら、結界を意識することが難しくなってしまったら。それは、おそらく社会人として生きて行くことが困難になってしまうという状態を意味するのでしょう。「閉鎖的な共同体」という装置の中において、それは個人の死をも意味するのかも知れません。
「個」ではなく「共同」あるいは「ムラ」という意識が強かった昔の日本の社会構造の中では「見てはいけないものは見ない」「見て見ぬ振りをする」という生き抜く為の知恵が必要とされました。日本の昔話には、見てしまった故に不幸になるという話が沢山ありますが、これなどはそのよい例かと思います。
 ここに描かれた女性は何を見ているのでしょうか。あるいは、見てはいけないものを見まいとして顔をそむけた瞬間なのでしょうか。もしかしたら見てはいけないのに目を離すことができずに、じっと見入ってしまっている状況なのかも知れません。描いた私も、絵の中の彼女に聞いてみないとその真意は解りません。ただ、彼女が戸惑っている状態であることは理解できます。はだけた肩と、両手の位置関係がそれを教えてくれます。
 
彼女は、何をどうしていいのか判らなくなってしまったのではないでしょうか。 「区別」という意識が無くなり「曖昧」や「戸惑い」にその心は支配されてしまったのかも知れません。見てはいけない「ナニカ」を見てしまった人は、それを避けようとして顔をそむけても、その呪縛から完全に逃れるのは難しいことです。
その状況が本質的に不幸な状態であるのかどうかは判りませんが、それでも「振れ」と「ブレ」に支配された不安定要素の強い「迷い」と「困惑」の状態であることに間違いはないでしょう。しかし、もしかしたらそれらは「ここ」から「そこ」へ、「そこ」から「そちら」へと自由に行き来することができる「意識の力」を養い、育ててくれるかも知れません。
「迷い」と「困惑」を源とする「曖昧さ」を意識することは、あらゆる本質を理解することができる「エネルギー」に転化する可能性があるのです。自分の内なる「不安」を利用する。そろそろ「区別」や「区画」から解放されてもいいんじゃないですか。
この絵の中に点在する「不安」を感じて下さい。そして、同時にあなたの内にある「不安」を意識し、実感してみて下さい。

もしかしたらそこにあなたの『カタイミ』が見つかるかも知れません。
そして、「しめしめ」と人知れずほくそ笑んでみて下さい。
これからの展望、今後の抱負、活動予定等を教えて下さい
伝えるべきテーマが鍋の底でドロドロしています。しかも、様々に混じり合い、行き来し合い「混沌」や「矛盾」を作り上げています。その上に、分離したスープである「表現」や「再現」がトロトロとその上を覆っています。それをゆっくりとかき混ぜ、様々な形をした「曖昧」という皿に、試行錯誤しながら流し込み完成です。
私の場合、制作とはそんな作業の連続です。

これからも「描き続ける」おそらく今はそれだけ。
筒井 義明 プロフィール
1953年生まれ 大阪芸術大学卒業
1982年(昭和57年)から2006年(平成18年)まで自由美術協会展出品
秋田美術作家協会会員 2001年(平成13年)
JIAS日本国際美術家協会会員 2007年(平成19年)
テーラー財団会員 2007年(平成19年)
美術解剖学会会員(東京芸術大学 美術学部 美術解
剖学研究室内) 2008年(平成20年)
ル・サロン永久会員 2011年(平成23年)
NEPU新エコールドパリ浮世・絵美術家協会会員 2011年
(平成23年)

※受賞歴
2006年(平成18年) フランス美術賞展 銅賞
2006年(平成18年) 第 7 回 日・仏・中現代美術世界展 アンビーユ賞
2006年(平成18年) 第14回 パリ国際サロン展 ザッキ賞
2007年(平成19年) 第15回 パリ国際サロン展 大賞
2007年(平成19年) 第15回 パリ国際サロン展 ロジェ・ブイヨ賞
2008年(平成20年) 第16回 パリ国際サロン展 アンビーユ賞
2009年(平成21年) 第10回日本・フランス現代美術世界展 大賞
2009年(平成21年) 第10回日本・フランス現代美術世界展 フナオカ賞
2010年(平成22年) 第41回フランス美術賞展(ヴァンヌ) 日仏友好賞
2010年(平成22年) 第18回 パリ国際サロン展 ロワリエ賞
2012年(平成24年) 第 1 回新エコールドパリ浮世・絵展 2012年NEPU代表作家賞
2012年(平成24年) 第27回パリ国際サロン 大賞/浮世・絵賞
など多数

ル・サロン展     2008年(平成20年)より通年入選
サロン・ド・トーヌ展 2012年(平成24年)初出品初入選
個展:ギャラリーにほんばし・ラセーヌ、第17回 パリ国際サロン展 個展部門
グループ展:ギャラリーにほんばし・ラセーヌ他多数回参加
秋田公立美術大学付属高等学院 ビジュアルデザイン科講師
・パリ国際サロン展の詳細はこちら

・第27回パリ国際サロン展覧会報告はこちら
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