パリ国際サロン/ドローイング・版画コンクール 報告

2025年 第38回パリ国際サロン報告
展覧会概要
第38回パリ国際サロン 2025
会期:2025年3月27日(木)~30日(日)
会場:バスティーユ・デザイン・センター、ギャラリー・デュ・マレ
主催:欧州美術クラブ
2025年3月27日(木)より30日(日)まで、バスティーユ・デザイン・センターならびにギャラリー・デュ・マレにて開催された「第38回パリ国際サロン」は、日本を活動拠点とする総勢184名の作家らの入魂の作品264点を迎え、見事な展覧を魅せた。
広い展示面積を有する会場1「バスティーユ・デザイン・センター」は、バスティーユ広場から徒歩数分に位置する。通りに面した5m以上もある大きなエントランスをくぐり、会場建物のドアを入ると、数メートルの廊下の先に吹き抜け高天井の3フロアが広がる。1850年頃より建築金物製造所の販売所兼ウェアハウスとして使用されていた歴史的建造物である本会場は、外観はもちろん床、壁、内装のほぼ全てが当時のまま現存。繊細かつ幅広い表現域に定評ある日本の現代アートは建物と見事に調和し、来場した全ての観覧者を魅了した。
仏画壇関係者、来場者と共に開催を祝う「ベルニサージュ」
  • 来場した日本アーティスト

会期初日、バスティーユ会場での18時からのオープニングイベント“ベルニサージュ”を前に、本サロン会長ジャン・マリ・ザッキ氏、副会長エルベ ロワリエ氏らのご厚意で催された寸評会には、20名を超える希望作家らが集い、それぞれ作品に向かいながら、講評者らより寸評を賜った。
今回、ご家族や知人らを伴い、27名の日本アーティストが来仏。両日、各会場で開催されたベルニサージュでは、本展を主催する欧州美術クラブ代表 馬郡文平をはじめ関係者、来賓らが祝辞を述べ、アーティスト同士、美術関係者らとの熱心な会話や異文化交流に花を咲かせた。

寸評会の様子

多様な広報
会期中、インターネットやSNSでの告知、展覧会やギャラリーなどイベント情報掲載誌、情報サイトでの広報をみて来訪したという方も多く、来場者は皆、作品と真摯に対峙し、時間をかけ観覧した。会場を後にする際、多くが、本展がいかに素晴らしいかを熱く語り、芳名帳には、「素敵な時間をありがとう」「壮大でとても美しい作品群」「インスピレーションに満ちた美しい展覧会」「今年も素晴らしい多様な作品が揃った!」など、個々の作家や作品に向けた賛辞、会場と展覧の調和への賛美、本展との出会いへの感謝の言葉が残された。
また、成約数はわずかであったものの、販売についての問い合わせが多く、以前展での購入者の再訪や、ル・サロン展やサロン・ドトーヌ展で作品を観たのをきっかけに来場した方もおり、新たなファンの獲得を実感した。
ギャラリー・デュ・マレ
会期2日目、マレ地区の中心に位置するヴォージュ広場にある会場2「ギャラリー・デュ・マレ」にて、前日同様、18時よりオープニングイベント“ベルニサージュ”が催された。この日、前日には都合で参加できなかった元フランス国民議会議員であり、現在、フランス・アジア協会会長としてフランスとアジアの発展に尽力されているジャン マリ カンバセレス氏が会場に駆けつけ、日本作家らと作品に称賛を贈った。
なお、半世紀に渡り互いの活動を称え合っているフランスを代表する公募サロンより、都合でオープニングには参加いただけなかった、ル・サロン(フランス芸術家協会)会長マドレーヌ ブルノー氏、サロン・ドトーヌ協会会長レヴェック ジャン-クリストフ氏、同副会長ガボ氏、ルーラン アンヌ氏が来場され、時に足をとめ、時に意見を交わしながら作品1点1点を鑑賞いただいたことも併せてご報告する。

本格的な春を待つこの時期のパリは朝晩の冷えこみや雨天に見舞われることも多いが、会期中、天候に恵まれ、多くの来場者を迎えつつ、大盛況のなか、惜しまれつつ4日間の会期を無事、終えた。
パリ国際サロン会長 ジャン・マリ・ザッキ氏 ご挨拶
今年もパリの空の下、日本のアーティストによる264点もの作品が本展を彩り、盛況な第38回展となりました。
昨年に続き、日本から30名を超える作家とそのご家族、ご友人らが来場され、たいへん嬉しく思います。私だけでなく、毎年、本展に足を運んでくださるフランス作家や美術関係者らも、多くの日本作家と本展開催を共に祝う事ができたことを心より喜んでおります。
残念ながら来場が叶わなかった方にお伝えしたいのは、会場を訪れた観覧者は皆、作品を通じ、日本のアーティストとの交流を間違いなく楽しんだということです。

欧州美術クラブ/JIASは、長年にわたりアートを介した交流の機会を創り続けており、本サロンの扉はアートを愛する全ての人に開かれています。これは今後も同様で、かつての浮世絵との相互発展のように、フランスと日本、それぞれに新たな風を吹き込むサロンでありたいと願っています。
そして、その相互関係がもたらすこの刺激こそが、今後のアート界の発展に貢献することを確信しています。

「パリ国際サロン」は、創立者 馬郡俊文氏の志を引き継ぎ、氏と共に本サロン創立に尽力された関係者らが掲げた理念をそのままに、次世代の者たちにより継承されています。
歩みを止めることなく積極的に活動を続ける欧美/JIASスタッフに、そして出品を続ける日本作家の皆さまにお祝いと感謝を申し上げると共に、次回展での再会をお約束します。OMEDETO !
第38回パル国際サロン ジョセ ティボ氏による展覧会総評
2024年、欧州美術クラブを介して出品した作品は、秋のサロン・ドトーヌ展の来場者に強い印象を与えた。そして今、欧州美術クラブが毎年主催する展覧会の中でも主要展のひとつ「第38回パリ国際サロン」が公開の時を迎えた。
約40年前、アートプロモーターある馬郡俊文によって創立されたこの芸術交流の舞台は、数十年にわたり、日本とフランスの二国間で、アーティストらが横断的に二重のアイデンティティを維持することに成功し、パリのアートフェア界で際立ったイベントに成長した。パリ国際サロンを担う日仏のチームは、馬郡俊文の想いを継続しながら、毎年、飛躍的な信頼を勝ち得ている。西洋の芸術に対する日本のビジョンへの信頼、フランスとパリ市民の目への信頼、都市のオーラと創造的な開放性への信頼。馬郡俊文はアートプロモータ―としての人生において、芸術に対する崇高な理念を絶やすことなく推進した人物であり、その崇高な理念は、パトリス・ド・ラ・ペリエール*1らフランス美術界の仲間とも共有していた。このような背景から、ヨーロッパのアート界を愛する日本のアーティストたちが、年に一度、パリの人々に向け作品を発表する機会を設けたいという思いが生まれた。日本から発せられたこの精神はフランスにもおよび、サロンを盛り上げる一流のアーティストたちによって受け継がれている。特に、パリ国際サロンで会長を担う、自身もアーティストであるジャン・マリ・ザッキは、サロンの価値、特に、規模や資源にかかわらず、伝えるべき真のストーリーと強いアイデンティティを持つサロンの重要性を掲げ続けている。

例年通り、本展では、ヨーロッパ・スタイルやテクニックをそれぞれのビジュアル・ワールドの素材として取り入れている日本アーティストの作品群を発見する機会を提供している。古典的な具象画にオマージュを捧げ、日本の文化的な題材を油彩で表現することに喜びを感じる作家もいれば、西洋的なテーマや様式的特徴に日本的な意図を吹き込みながら、もっと気軽に遊ぶ作家もいる。また、人形、麻やリネンのキャンバスといった伝統的なメディアを使いながら、現代的な発明の道を進む作家もいる。それが、不思議な親しみやすさや、一言では言い表せない親近感のような、たいへん刺激的な印象を生む。まるで西洋の観客らが自分たちの絵画的な手荷物のかけらを再発見し、100の思いがけない方法でそれについて考え、あちこちで美しい輝きを放つ新鮮さに生かされているかのように。本展の美しい作品群は、その内容と理念のふたつの誠実さにより、具体的な感動を呼び起こすのだ。

*1:パトリス・ド・ラ・ペリエール
1994年に創刊された仏美術誌「ユニベール・デザール」の共同創始者であり、生涯、編集長として辣腕を
振るう。2023年6月、逝去。芸術勲章受勲(2005年フランス文化省)はじめ、受賞歴多数。
ジョセ ティボ  「ユニベール・デザール」編集長

1994年創刊の美術誌ユニベール・デザール誌パトリス・ド・ラ・ぺリエール編集長の
右腕として長年にわたり編集主幹として活躍後、現在、編集長を担う。
日々、活きたアートに接し培われた確かな目を持ち、今回展においては、ミニ個展
部門の個人講評を執筆、2021年からは審査員も務める。
その他の展示風景

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第38回パリ国際サロン 受賞作品

受賞者発表は「第38回パリ国際サロン 受賞者一覧」をご覧ください☆彡

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